猪肉ステーキは、コツさえ掴めば、ご家庭でも驚くほど美味しく焼けますよ。
独特の風味と食感が魅力の猪肉ですが、下処理や焼き加減を間違えると、硬くなったり臭みが残ったりすることも事実です。「猪肉って、なんだか難しそう……」と敬遠している人もいるかもしれません。
この記事では、猪肉ステーキを美味しく焼くための秘訣を徹底解説します。
猪肉ステーキの魅力とは?豚肉との違いや特徴を解説
猪肉ステーキの魅力は、何といってもその濃厚な旨味と、豚肉にはない独特の風味です。
猪肉は、豚肉に比べて赤身が多く、脂肪交雑が少ないのが特徴です。そのため、しっかりとした歯ごたえがあり、噛むほどに肉本来の旨味が口の中に広がります。
「猪肉って硬そう……」と心配な人もいるかもしれませんが、適切な部位を選び、下処理をきちんと行えば、驚くほど柔らかくジューシーに仕上がりますよ。
また、猪肉は豚肉よりも鉄分やビタミンB群が豊富で、栄養価が高いのも魅力の一つです。
- 鉄分:豚肉の約2倍
- ビタミンB1:豚肉の約1.3倍
- ビタミンB12:豚肉の約3倍
(出典:文部科学省 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年)
これらの栄養素は、貧血予防や疲労回復、美肌効果などが期待できるため、健康や美容に関心の高い人にもおすすめです。
猪肉ステーキは、美味しさだけでなく、栄養面でも優れた食材といえるでしょう。

猪はジビエのなかでも食べやすいですね

猪肉の部位選び:ステーキにおすすめのロースや肩ロース
猪肉ステーキを美味しく焼くためには、部位選びが重要です。
ステーキにおすすめの部位は、ロースと肩ロースです。これらの部位は、比較的柔らかく、猪肉特有の旨味を存分に楽しめます。「どの部位を選べばいいか分からない……」という人は、まずロースか肩ロースを選べば間違いありません。
それぞれの部位の特徴は以下のとおりです。
ロース
猪肉初心者へのおすすめは、断然ロースです。猪肉って、ちょっとクセがあるイメージですが、ロースは違います。驚くほど柔らかくて、臭みもほとんど感じません。赤身と脂身のバランスが絶妙で、お肉本来の美味しさを存分に楽しめます。
ロースの魅力を最大限に味わうなら、ステーキのようなシンプルな調理法がおすすめ。
肩ロース
猪の肩ロースは、ロースよりもさらに深く、猪本来の野性味あふれる濃厚な旨味が凝縮された部位。それでいて、気になる臭みは少なく、上質な肉であればあるほど、その真価を堪能できます。
ロースに比べて脂身をたっぷり含んだ肩ロースは、塊で焼くことで、その魅力を最大限に引き出せます。赤身の力強い旨味と、噛みしめるほどに弾むもちもちとした食感。さらに、表面の脂身はカリカリに香ばしく、内側の脂身はとろけるように甘く、ふわりと優しい自然の香りが鼻をくすぐります。

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猪肉の下処理:臭みを消して柔らかくする秘訣
猪肉ステーキを美味しく焼くためには、下処理が非常に重要です。
猪肉は、豚肉に比べて独特の臭みがあるため、適切な下処理をすることで、臭みを消し、肉を柔らかくできます。「猪肉って臭いが気になる……」という人も、この下処理をマスターすれば、美味しく猪肉ステーキを楽しめますよ。
具体的な下処理の方法は以下のとおりです。
塩水につける
解凍した猪肉は、まず10~15%の濃度の塩水に1~2時間つけてください。すると、塩水の作用で肉から余分な水分や臭み成分が溶け出し、水が赤く染まってきます。この赤くなった水は取り替え、再度新しい塩水につける作業を繰り返します。
この工程を、猪肉が全体的に白っぽくなるまで続けることで、より一層臭みが抜け、やわらかく美味しく食べられる状態になりますよ。
牛乳やヨーグルトにつけこむ
猪肉特有の臭みをさらに抑えたい場合は、塩水処理に加えて、牛乳やヨーグルトにつけこむ方法もおすすめです。目安として、30分から1時間ほど、猪肉を牛乳またはヨーグルトに漬けこんでみてください。
乳製品に含まれる酵素の働きにより、臭みを和らげるだけでなく、お肉をより柔らかくする効果も期待できます。このひと手間で、猪肉がさらに食べやすくなるでしょう。
これらの下処理を行うことで、猪肉特有の臭みが抑えられ、より美味しく猪肉ステーキを味わうことができます。
下処理は少し手間がかかりますが、このひと手間が、猪肉ステーキの味を格段に向上させますよ。
自宅で簡単!絶品猪肉ステーキの焼き方
猪肉ステーキは、適切な下処理と焼き加減で、驚くほどやわらかくジューシーに仕上がります。「猪肉って硬そうだし、臭みがあるんじゃないの……?」と心配な人もいるかもしれません。
ここでは、ご家庭でも簡単にできる、臭みがなく旨みたっぷりの猪肉ステーキの焼き方を紹介します。
猪肉ステーキのおすすめ焼き加減
猪肉ステーキの焼き加減は、ミディアムレアからミディアムがおすすめです。
猪肉は、豚肉に比べて火を通しすぎると硬くなりやすい性質があります。そのため、中心部がほんのりピンク色に残る程度に焼き上げることで、猪肉本来のやわらかさとジューシーさを最大限に引き出すことができるのです。
具体的には、以下の手順で焼き加減を調整します。
1. 室温に戻す:冷蔵庫から出したての冷たい猪肉は、火の通りが悪く、焼きムラの原因になります。調理の30分前に冷蔵庫から出し、室温に戻しておきましょう。
2. 強火で表面を焼く: フライパンを強火で十分に熱し、猪肉の表面に焼き色をつけます。これにより、肉汁を閉じ込め、旨みを逃がしません。
3. 火加減を調整する:表面に焼き色がついたら、火を中火から弱火に落とし、じっくりと火を通します。
4. 焼き時間:厚さ2〜3cmの猪肉の場合、片面2〜3分ずつ焼くのが目安です。
5. 中心温度を確認:竹串や金串を肉の中心部に刺し、数秒後に抜いて唇や手の甲に当ててみましょう。温かければミディアムレア、熱ければミディアムです。
焼き加減はお好みで調整してください。「もう少し火を通したいな……」と感じたら、弱火で加熱時間を延長しましょう。
猪肉ステーキの焼き加減は、好みに合わせて調整してください。
フライパンで美味しく焼くコツと注意点
猪肉ステーキをフライパンで美味しく焼くためのコツは、火加減と油の量です。
強火で表面を焼き固め、中火から弱火でじっくりと火を通すことで、肉汁を閉じ込め、ジューシーに仕上がります。また、オリーブオイルを使うことで、猪肉の風味を損なわず、香ばしく焼き上がるのでおすすめ。グレープシードオイルなんかもよいですね。
フライパンで猪肉ステーキを焼く際の、具体的な注意点は以下の通りです。
1. フライパンを十分に熱する:フライパンが十分に熱されていないと、肉がフライパンにくっつきやすく、綺麗に焼き色がつきません。煙が出る直前まで熱しましょう。
2. 油は多めにひく:油が少ないとパサつきやすくなります。猪肉の脂が少ないときはオリーブオイルを大さじ2〜3杯程度、多めにひいて、アロゼ(フレンチの手法で油をかけながら焼く)するとしっとりと焼きあがりますよ。
3. 何度もひっくり返さない:猪肉を何度もひっくり返すと、肉汁が出てしまい、旨味が逃げてしまいます。片面をじっくりと焼き、焼き色がついたらひっくり返すようにしましょう。
4. 焼きすぎに注意:猪肉は火を通しすぎると硬くなるため、焼きすぎには注意が必要です。中心部の温度を確認しながら、焼き加減を調整しましょう。
5. アルミホイルで休ませる:焼きあがった猪肉ステーキは、すぐに切らずにアルミホイルで包んで5分ほど休ませましょう。これにより、肉汁が全体に行き渡り、よりジューシーになります。「すぐに食べたい!」気持ちをぐっとこらえて、少しだけ待ってみてください。
これらのコツと注意点を守れば、フライパンでも驚くほど美味しい猪肉ステーキが焼けますよ!

BBQで炭火焼きなんかもいいですよね
猪肉ステーキをさらに美味しくするソースレシピ
猪肉ステーキには、赤ワインソースがおすすめです。猪は山ブドウが大好物なので、よく合いますよ。
赤ワインの芳醇な香りとコクが、猪肉の旨味を引き立て、より一層美味しくしてくれます。ご家庭でも簡単に作れる、本格的な赤ワインソースのレシピを紹介しましょう。
材料
- 赤ワイン:100ml
- 醤油:大さじ2
- みりん:大さじ2
- 砂糖:小さじ1
- バター:10g
- 猪肉を焼いた後のフライパンに残った肉汁
作り方
1. 猪肉を焼いた後のフライパンに、赤ワイン、醤油、みりん、砂糖を入れ、中火で煮詰めます。
2. ソースが半分くらいの量になり、とろみがついてきたら、バターを加えて溶かします。
3. バターが溶けたら火を止め、猪肉ステーキにかければ完成です。
「今日はちょっと贅沢したいな……」というときには、バルサミコ酢を加えてみましょう。
バルサミコ酢の酸味と甘みが加わり、より深みのある味わいになり高級感が出ますよ。
ぜひ、いろいろなソースを試して、好みの味を見つけてみてください!

付け合わせの野菜はキノコや栗なんかもいいですよね。猪が山で食べているようなものを合わせてみてください
猪肉はどこで買える?
結論からいうと、猪肉は、専門の精肉店や通販サイト、一部のスーパーマーケット、道の駅や直売所などで購入できます。
特に、実店舗が近くにない場合や、さまざまな産地やブランドの猪肉を比較したいときは、通販サイトが便利でしょう。
「でも、通販だと品質が心配……」と思う人もいるかもしれません。
しかし、信頼できる通販サイトを選べば、新鮮で高品質な猪肉を手に入れることができます。
具体的には、以下のような通販サイトがおすすめです。
精肉店直営の通販サイト
生産から販売まで一貫して行っているため、品質管理が徹底されており、安心して購入できます。
産地直送の通販サイト
特定の地域の猪肉に特化しているため、その地域の猪肉の特色やこだわりを知ることができます。
ジビエ専門の通販サイト
猪肉だけでなく、鹿肉など、さまざまなジビエを取り扱っているため、ジビエ料理に興味がある人におすすめです。
これらの通販サイトでは、猪肉の部位や量、価格などを比較検討しながら、自分にぴったりの猪肉を選ぶことができます。
また、多くの通販サイトでは、猪肉の美味しい食べ方やレシピなども紹介されているので、参考にするとよいでしょう。
猪肉は、信頼できる販売店から購入することで、その美味しさを存分に楽しむことができます。

猪肉の栄養価は?気になる安全性について
猪肉は、高タンパク、低脂肪、低カロリーで、ビタミンB群や鉄分、亜鉛などのミネラルも豊富に含まれている、栄養価の高い食材です。
特に、豚肉と比較すると、猪肉は脂肪分が少なく、鉄分は約4倍も含まれています。
「猪肉って、野生だから寄生虫とか大丈夫なの?」と心配になる人もいるかもしれません。
しかし、適切な検査を受けた猪肉であれば、安全に食べることができます。
具体的には、以下のような点に注意して猪肉を選びましょう。
信頼できる販売店で購入する
猪肉を安全に楽しむためには、購入先の選定がとても重要です。信頼できる精肉店や、実績のある通販サイトでは、適切な衛生管理のもと、必要な検査をクリアした猪肉のみを販売しています。これらの販売店では、品質管理に関する情報公開や、トレーサビリティ(生産履歴の追跡)がしっかりしている場合も多く、より安心して購入できるでしょう。
十分に加熱する
猪肉は、中心部まで十分に加熱することで、寄生虫や細菌のリスクを避けることができます。厚生労働省のガイドラインでは、中心部の温度が75℃で1分以上、または同等の加熱をすることが推奨されています。
これらの点に注意すれば、猪肉を安全に、そして美味しく楽しむことができます。
猪肉は、栄養価が高く、健康や美容に関心のある人にもおすすめの食材といえるでしょう。
猪肉ステーキに合うワインは?
猪肉ステーキは、その濃厚な旨味と独特の風味から、赤ワインとの相性が抜群です。ヤマブドウをお腹いっぱい食べた猪ならなおさらですね。
特に、フルボディでタンニンがしっかりとした赤ワインは、猪肉の力強い味わいを引き立ててくれます。
「ワインは詳しくないから、選ぶのが難しい……」という人もいるかもしれません。
そんな人には、以下のようなワインがおすすめです。

カベルネ・ソーヴィニヨン
力強いタンニンと、熟したブラックベリーやカシスを思わせる豊かな果実味が特徴の赤ワインです。しっかりとした骨格を持つカベルネ・ソーヴィニヨンは、猪肉の濃厚な旨みと調和し、互いの風味を引き立て合います。特に、赤身の多い部位や、スパイスを効かせた猪肉料理との相性は抜群です。
シラー(シラーズ)
スパイシーな香りと、凝縮感のある濃厚な味わいが特徴の赤ワイン、シラー(シラーズ)。その力強い風味は、猪肉の持つ独特の風味と相性抜群で、互いを引き立て合う素晴らしいマリアージュを生み出します。特に、黒胡椒のようなスパイシーさは、猪肉の旨みをより一層際立たせてくれるでしょう。
メルロー
穏やかでまろやかな口当たり、そして熟したプラムやベリーを思わせる芳醇な果実味が特徴のメルローは、猪肉の脂身の甘みと旨みに寄り添い、見事な調和を生み出します。比較的タンニンが穏やかなため、猪肉の風味を邪魔せず、互いの良さを引き立て合うでしょう。
これらのワインは、比較的スーパーマーケットや酒販店でも手に入りやすく、猪肉ステーキとの相性を気軽に楽しむことができます。
猪肉ステーキを楽しむために:まとめ
この記事では、猪肉ステーキの魅力から、部位選び・下処理・焼き方・ソースレシピ・購入場所・安全性・合うワインまで、猪肉ステーキを美味しく楽しむための情報を網羅的に解説しました。
猪肉ステーキは、下処理や焼き加減に少しコツが必要ですが、この記事で紹介した方法を参考にすれば、ご家庭でも驚くほど美味しく、そして安全に楽しむことができます。ぜひ、この記事を参考に、絶品猪肉ステーキに挑戦してみてください。