蝦夷鹿肉の味は?硬い・臭いは誤解!プロが語る本当の魅力とは

ジビエ

こんにちは、お肉博士のよしにくっくです!

最近SNSなどでも話題の蝦夷鹿肉、気になっている方も多いのではないでしょうか。

「ジビエって聞くけど、実際のところ臭みとか硬さとかどうなんだろう?」

「牛肉とは違う、上品な赤身肉って聞くけど本当においしいのかな?」

こんな風に、期待と少しの不安が入り混じった気持ちかもしれませんね。

ですが、蝦夷鹿肉が硬くて臭いというのは、実は大きな誤解なのです。

いくつかのシンプルなコツさえ押さえれば、家庭でも驚くほど柔らかく上品な味わいを楽しめる、最高の赤身肉なんですよ!

正しい知識という敬意を払えば、お肉は必ず最高の美味しさで応えてくれます。

この記事では、蝦夷鹿肉を心から美味しく味わいたいあなたに向けて、

  •  蝦夷鹿肉の本当の味と牛肉との違い
  •  「硬い・臭い」という誤解が生まれる本当の理由
  •  家庭でできる感動の味に変えるプロの技
  •  部位の魅力を引き出す絶品レシピ

上記について、僕の調理師としての経験も交えながら解説しています。

蝦夷鹿肉は、決して難しい食材ではありません。

ぜひこの記事を参考にして、いつもの食卓を豊かにする絶品赤身肉の魅力に触れてみてください!

よしにくっく
よしにくっく

蝦夷鹿は本州鹿よりも、肉の味が濃厚だと思います

そもそも蝦夷鹿肉ってどんな味?プロが牛肉との違いを徹底比較

蝦夷鹿肉のロースト

皆さん、「蝦夷鹿肉」と聞くと、どんなイメージが浮かびますか?

「ちょっとクセが強そう…」「お肉が硬いんじゃないかな?」なんて声が聞こえてきそうですね。

でも、それは大きな誤解なんですよ!

実は、適切に処理された蝦夷鹿肉は、驚くほど上品で美味しい、最高の赤身肉なのです。

繊細で上品な赤身の旨味と食感

蝦夷鹿肉の最大の魅力は、その繊細で上品な赤身の味わいにあります。

霜降りの和牛が持つ脂の甘みとは対極に位置する、肉本来のピュアな旨味が凝縮されているのが特徴です。

口に入れると、鉄分由来の豊かで滋味深い風味が広がり、噛むほどに赤身の力強いコクを感じられます。

食感はきめが細かく、驚くほどしっとりとしていて、まるでシルクのようになめらかな舌触り。

僕の経験から言うと、上質な蝦夷鹿のロースは、高級な牛ヒレ肉にも匹敵するほどの柔らかさと上品さを持っているんですよ。

牛肉のガツンとした味わいとはまた違う、体にすっと染み渡るような優しい美味しさが、蝦夷鹿肉の真骨頂と言えるでしょう。

気になる「臭み」は適切な処理でほぼゼロに

「でも、ジビエってやっぱり臭みが気になる…」という方も多いかもしれませんね。

わかります、僕も昔はそう思っていました。

しかし、断言します!

現在流通している高品質な蝦夷鹿肉は、適切な処理が施されているため、獣臭さはほとんどありません

臭みの主な原因は、狩猟後の血抜き処理の技術にありました。

近年は、国が定めたガイドラインに沿った衛生的な処理施設が増え、技術も格段に進歩したのです。

むしろ、ほのかに香る野趣が、肉の風味をより一層引き立てるアクセントとして楽しめるはずです。

【比較表】高タンパク・低脂質!蝦夷鹿肉の驚くべき栄養価

蝦夷鹿肉は、美味しさだけでなく、その栄養価の高さも特筆すべき点です。

特に、健康やトレーニングに関心のある方には、ぜひ注目してほしい食材なんですよ。

牛肉や豚肉と比べて、どれだけヘルシーなのか一目でわかるように表にまとめてみました。

栄養素(100gあたり)蝦夷鹿肉(もも)牛肉(もも)豚肉(もも)
カロリー約120kcal約191kcal約183kcal
タンパク質約23g約21.3g約20.5g
脂質約2.5g約10.7g約10.2g
鉄分約4.5mg約2.6mg約0.9mg

※数値は文部科学省「日本食品標準成分表2024年版(八訂)」などを参考に作成した目安です。

この表を見てください!

カロリーと脂質は牛・豚の半分以下なのに、タンパク質はより豊富。

特に注目すべきは鉄分で、牛肉の約1.7倍、豚肉のなんと5倍も含まれています。

鉄分は体に吸収されやすい「ヘム鉄」なので、貧血予防や疲労回復にも効果が期待できるのです。

まさに、美味しさと健康を両立できる、現代人にとって理想的なお肉と言えるでしょう。

蝦夷鹿肉が硬い・臭いは誤解!お肉博士が語る本当の魅力

蝦夷鹿肉ステーキ

蝦夷鹿肉が「硬い」「臭い」と言われてしまうのには、実は明確な理由があります。

その原因を科学的に理解すれば、対策は驚くほどシンプルなんですよ。

食材の特性を知り、敬意を払うこと。

それが、最高の美味しさを引き出すための第一歩なのです。

理由1:臭みの原因は「血残り」にあった

蝦夷鹿肉の臭みの主な原因、それはズバリ「血残り」です。

特に、お肉を解凍した時に出てくる赤い液体、いわゆる「ドリップ」に臭みの成分が多く含まれています。

これは肉の細胞が壊れて流れ出た水分やタンパク質、そして血液が混ざったもの。

このドリップをそのままにして調理してしまうと、加熱した時に特有の臭みが出てしまうのです。

つまり、生産段階での適切な血抜き処理と、家庭での調理前の一手間が、臭みをなくすための鍵を握っているということ。

逆に言えば、このドリップさえしっかりケアすれば、臭みの悩みはほとんど解決するんですよ。

理由2:硬くなるのは「火の入れすぎ」が原因

次に「硬さ」の原因ですが、これはほぼ100%「火の入れすぎ」が原因です。

蝦夷鹿肉は、先ほどの栄養成分表でも見た通り、非常に脂肪が少ない赤身肉。

牛肉の場合、サシ(脂肪)が筋肉の間に網の目のように入っているため、多少火を入れすぎても脂が溶け出してジューシーさを保ってくれます。

しかし、脂肪が少ない蝦夷鹿肉を牛肉と同じ感覚で強火でガンガン焼いてしまうと、お肉の水分が一気に蒸発して、タンパク質が硬く縮んでしまうのです。

繊細な赤身肉だからこそ、火加減には細心の注意が必要。

急な高温調理は避け、低温でじっくりと熱を伝えることが、驚くほど柔らかく仕上げるための絶対的なルールなのです。

よしにくっく
よしにくっく

あとはカットの仕方も重要です。肉の繊維に対して垂直に包丁を入れて、繊維を断ち切るようにカットしてくださいね

【プロの技】家庭でできる!蝦夷鹿肉を感動の味に変える3つの鉄則

理論はバッチリですね!

では、いよいよ実践編に移りましょう。

これからお話しするのは、僕が長年の調理師経験で培ってきた、家庭でも絶対に失敗しないための「3つの鉄則」です。

「なんだか難しそう…」なんて思う必要は全くありません。

どれも簡単なことばかりですが、このひと手間が、あなたの蝦夷鹿肉料理を劇的に変えることをお約束します!

鉄則1:旨味を逃さない「低温での完全解凍」

冷凍で届くことが多い蝦夷鹿肉。

まず最初の関門が「解凍」です。

ここで焦って電子レンジを使ったり、お湯に浸けたりするのは絶対にNG!

急激な温度変化は、肉の細胞を壊し、旨味成分であるドリップが大量に流れ出る原因になります。

最高の解凍方法は、調理する前日から冷蔵庫に移し、丸一日かけてゆっくりと解凍すること。

時間はかかりますが、これが肉へのダメージを最小限に抑え、旨味を閉じ込めるための最も確実な方法なのです。

「急がば回れ」、これがお肉を美味しくする最初の愛情ですよ。

鉄則2:臭みの元を断つ「ドリップの拭き取り」

解凍が完了したら、次の鉄則です。

袋からお肉を取り出し、キッチンペーパーで表面の水分(ドリップ)を優しく、そして徹底的に拭き取ってください。

先ほどお話しした通り、このドリップこそが臭みの最大の原因。

お肉の表面だけでなく、くぼみや隙間に入り込んだドリップも丁寧に吸い取りましょう。

たったこれだけ?と思うかもしれませんが、このひと手間をかけるかかけないかで、仕上がりの風味が全く変わってきます。

お店で食べるジビエ料理に臭みがないのは、こうした丁寧な下処理がされているから。

プロの味に近づくための、簡単で最も効果的な秘訣なんですよ。

鉄則3:柔らかさを保つ「常温戻し」と「弱火調理」

いよいよ焼きの工程です。

最後の鉄則は、火入れのコントロール。

まず、焼く30分~1時間前には冷蔵庫から出し、肉を常温に戻しておきましょう。

冷たいままの肉を熱いフライパンに乗せると、表面だけが焼けて中心まで火が通らず、焼きムラの原因になります。

そして、ここが最重要ポイント!

フライパンに油をひいたら、必ず「弱火」でじっくりと火を入れていきます。

決して強火で焼き固めようとしないでください。

片面を数分ずつ、何度もひっくり返しながら、中心までゆっくり熱を伝えていくイメージです。

美しい焼き色は、最後に火を少しだけ強めて両面をサッと焼けば十分。

この「弱火の魔法」こそが、蝦夷鹿肉を驚くほど柔らかく、ジューシーに仕上げる最大のコツなのです。

よしにくっく
よしにくっく

なるべくお肉にストレスをかけないで焼くイメージですね

【部位別】蝦夷鹿肉のポテンシャルを引き出す絶品レシピ3選

蝦夷鹿肉のロースト

ここまで学んだ知識と技術を総動員して、いよいよ最高の蝦夷鹿肉料理作りに挑戦しましょう。

蝦夷鹿肉は、部位によって最適な調理法が異なります。

今回は、家庭でも手に入りやすい代表的な3つの部位について、それぞれのポテンシャルを120%引き出す、僕のおすすめ絶品レシピを紹介しますね!

いつもの食卓が、特別なレストランに変わる瞬間を、ぜひ体験してください。

①ロース:まずはシンプルに!絶品ステーキの焼き方

ロースは、蝦夷鹿肉の中でも特にきめが細かく柔らかい、最高級の部位です。

この部位の魅力を味わうなら、余計なことはせず、シンプルにステーキでいただくのが一番!

材料

  •    蝦夷鹿ロース肉…200g程度
  •    塩、黒胡椒…適量
  •    オリーブオイル(または牛脂)…大さじ1

作り方

  1. 3つの鉄則(解凍、ドリップ拭き取り、常温戻し)を完璧に行います。

  2. 焼く直前に、肉の両面にまんべんなく塩、黒胡椒を振ります。

  3. フライパンにオリーブオイルを熱し、弱火にかけます。

  4. 肉を入れ、片面3~4分ずつ、ひっくり返しながらじっくり焼いていきましょう。肉の厚みによって時間は調整してください。

  5. 金串などを刺して、唇の下にあててみて、ほんのり温かければOKのサイン。

  6. アルミホイルに包み、焼いた時間と同じくらい(5~10分)休ませます。これで肉汁が全体に落ち着き、ジューシーに仕上がりますよ。

この焼き方なら、断面は美しいロゼ色に。

赤ワインと醤油を煮詰めた簡単なソースを添えれば、もうそこは高級レストランです!

②もも肉:しっとり柔らか!ごちそうローストの作り方

もも肉は、ロースに次いで柔らかく、赤身の味が濃いのが特徴の部位。

塊のまま調理するローストにすると、その真価を最大限に発揮します。

材料

  •    蝦夷鹿もも肉ブロック…400~500g
  •    塩、黒胡椒…適量
  •    にんにく(すりおろし)…1片分
  •    ローズマリーなどお好みのハーブ…少々
  •    オリーブオイル…大さじ1

作り方

  1. 肉を常温に戻し、塩、胡椒、にんにく、ハーブを全体にしっかりとすり込みます。

  2. フライパンにオリーブオイルを熱し、強火で肉の全ての表面にこんがりと焼き色をつけます。これは旨味を閉じ込めるための大事な工程です。

  3. 焼き色がついたら、120℃に予熱したオーブンで20~30分ほど加熱します。

  4. オーブンから取り出し、アルミホイルに包んで30分ほど休ませれば完成。

オーブンがない場合は、ジップロックなど耐熱性の袋に入れて空気を抜き、70℃くらいのお湯で40~50分湯煎してもOKです。

しっとり柔らかいローストは、パーティーの主役になること間違いなし!

③バラ・スネ肉:旨味を凝縮!とろける煮込み料理のコツ

バラ肉やスネ肉は、筋が多くて少し硬めの部位ですが、旨味成分はたっぷり。

こうした部位は、じっくり時間をかけて煮込むことで、驚くほど柔らかく、味わい深くなります。

  下準備でまずは塊のまま、表面に焼き色をつけましょう。旨味が凝縮されます。

  香味野菜の玉ねぎ、にんじん、セロリなどと一緒に煮込むと、肉の臭みを和らげ、風味に深みが出ます。

  煮込み液は赤ワインやトマト缶、ブイヨンなど、酸味と旨味のある液体で煮込むのがおすすめです。

  時間は弱火でコトコト、最低でも2~3時間は煮込みましょう。圧力鍋を使えば時間短縮も可能です。

時間をかけることで、硬い筋がとろとろのコラーゲンに変化し、口の中でほろりと崩れる食感になります。

赤ワイン煮込みや、贅沢なカレーの具材にするのも最高ですよ。

この旨味が溶け出したスープは、一滴残らず味わい尽くしてくださいね!

まとめ:蝦夷鹿肉はコツさえ掴めば、家庭で最高の味になる!

今回は、蝦夷鹿肉に興味はあるけれど、調理に不安を感じている方に向けて、

  •  蝦夷鹿肉の本当の味と牛肉との違い
  •  硬さや臭みの原因とプロの解決策
  •  家庭でできる感動の味に変える3つの鉄則
  •  部位の魅力を引き出す絶品レシピ

上記について、お肉博士である僕の経験を交えながらお話してきました。

蝦夷鹿肉が硬くて臭いというのは、実は大きな誤解なのです。

その繊細な赤身の魅力を引き出す鍵は、丁寧な下処理と火入れという、ほんの少しの愛情なんですよ。

この記事で紹介したコツを実践すれば、あなたの食卓がまるで高級レストランのように特別な場所に変わることでしょう。

さあ、難しく考えすぎずに、まずは絶品の赤身肉でステーキに挑戦してみませんか?

きっと、その美味しさに感動しますよ!

この記事を書いた人
よしにくっく

お肉への情熱が冷めない肉食男子(?)、よしにくっくです。
お肉博士1級と調理師免許を保持し、日々お肉と料理の世界を深く探求しています。

普段は食品会社の営業担当です。顧客にはミシュラン星付きレストランのシェフもいらっしゃるため、貴重なお話をうかがう機会も多いです。

このブログでは、そんな情報も交えながら、お肉のことや料理のことを発信していきます!

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