鴨肉の種類と選び方を1級お肉博士がわかりやすく解説！

「鴨肉ってどんな種類があるの？」「鴨肉を買う時の選び方は？」「野生の鴨って美味しいの？」そんな疑問に1級お肉博士と調理師免許を持っている私が、わかりやすく解説します！

一口に鴨肉と言っても種類や産地、部位などによっても味わいは大きく変わります。

この記事では、鴨肉の種類や特徴、それに合わせた料理やオススメのレシピをご紹介！

鴨肉の種類と特徴は？

鴨肉はみんな同じに見えますが、個性豊かな種類がありそれぞれに魅力的な特徴があります。

「この料理にはこの鴨が合う」なども含めカンタンにご紹介します。

マガモ（真鴨）

日本で狩猟が許されている大型の鴨です。

鴨の王者の風格を備え、ジビエ初心者から上級者まで誰からも受け入れやすい滋味豊かな味わい。　　　マガモのオスは、光沢が美しい緑色の頭部から「青首」とも呼ばれます。

そして意外ですがカルガモもマガモと肩を並べる味わいなんです。

サイズもマガモと同じ大型で、赤身が多く濃厚な味が特徴です。季節や食べている餌により、味わいや脂の乗りに変化があるため肉質の見極めが難しい。

ローストにして、骨で出汁をとり赤ワインを合わせたソースなどがマガモの旨味を引き立てます。

アイガモ（合鴨）

マガモとアヒルの交配種で、中間的な特徴を持ちます。

脂の乗りはマガモより多く、アヒルよりは少なめ。

肉質は程よく引き締まっており、風味もバランスが取れていて万人受けする味わいです。　　　　　　　様々な料理に適し、煮ても焼いても美味しい。

鴨南蛮、鴨鍋、スモークなどあらゆる調理法に向いており、お手頃価格。

アヒル（家鴨）

マガモを家畜化したもので、食肉用・採卵用に改良され世界中で飼育されています。

脂肪分が多く、皮が厚いため中華料理の北京ダックに使用される。

年間を通じて安定した肉質が得られます。

チェリバレー種

チェリバレー種とは、イギリスのリンカンシャー州にある「チェリバレーファーム」で品種改良されたものです。

日本で流通している合鴨のほとんどはこのチェリバレー種です。

成長が早く、肉量が多いのが特徴で、生後5〜60日で成鳥になります。鴨特有の臭みも少なく、肉質は柔らかくジューシーで風味豊か。

皮は薄めで、クリスピーに焼き上げやすいのでロースト料理にも適しています。

幅広い料理に適しており、肉の繊維も細かく繊細な味わいが楽しめるでしょう。

バルバリー種

バルバリー種とは、南アフリカ原産ですがフランスで品種改良されたものです。

名前の由来は諸説ありますが、北西アフリカの「バルバリア海岸」に由来すると考えられていますが、原産地は南アフリカ……。このあたりは謎ですね。

鴨の中でも最も大型で、成長が早く、肉質・量ともに優れておりフランスで好んで使われています。　　そのためフランスで生産される鴨の約9割を占めており、「フランス鴨」とも呼ばれます。

脂が少なく、肉質は旨味の濃い赤身が特徴で、野生のマガモにも似た味わいです。

和食にも合いますが、ローストにしてオレンジやベリー系のソースを合わせたり、コンフィ（低温の油で煮るフランス料理）にして皮目をパリッと焼き上げると美味しく仕上がります。

鴨肉の栄養と健康メリットは？

「鴨肉って美味しいけど、体に良いの？」なんて思ったことありませんか？

鴨肉は高タンパクでビタミンB群を豊富に含み、健康的な栄養素がたっぷり！

鴨肉の栄養素とカロリー

　　鴨肉の栄養成分表（100g当たり）

鴨肉の健康メリット・デメリットは？

鴨肉には、いろいろな栄養素が詰まっている魅力的なお肉です。

ここでは、健康面での「いいところ」と「ちょっと気をつけたいところ」をカンタンに解説します！

健康メリット（いいところ）

1. 筋肉作りの強い味方：鴨肉100g当たり19gものタンパク質を含んでいます。これは筋肉の成長と修復に欠かせない栄養素です。ジムの後のディナーにいかがですか？

2. 貧血撃退パワー：鉄分が豊富（100g当たり2.7mg）なので、貧血予防や改善に効果的です。特に女性の方にはうれしいポイントですね。

3. エネルギー満タン：ビタミンB群、特にナイアシン（B3）が豊富です。これらは体内でのエネルギー生産を助けてくれます。午後の眠気対策には鴨肉ランチがオススメ！

4. 抗酸化作用でアンチエイジング：セレンを含んでおり、これは強力な抗酸化作用があります。お肌にもいいかも？

5. 免疫力アップ：亜鉛も豊富で、免疫システムの維持に役立ちます。風邪や季節の変わり目の強い味方になってくれそうです。

健康デメリット（ちょっと気をつけたいところ）

1. カロリーが高め：100g当たり337kcalとカロリーが高めです。ダイエット中の方は要注意！

2. 脂質含有量が多い：脂質が28.35gと多く含まれています。心臓病のリスクがある方は摂取量に気をつけましょう。

3. コレステロール値に注意：100g当たり84mgのコレステロールを含んでいます。コレステロール値が気になる方は控えめに。

4. プリン体：鴨肉はプリン体を含むため、痛風の方や尿酸値が高めの方は注意が必要です。

お家で鴨肉料理を楽しむレシピ

ここでは、お家でカンタンに楽しめる鴨肉料理のレシピを3つご紹介します。

レストランのメニューでありそうな鴨肉料理も、お家で作って楽しみましょう！

鴨肉のロースト、オレンジソース

この料理は、見た目も華やかで、お家でもカンタンに本格的な味わいが楽しめます。

オレンジの爽やかさが鴨肉の濃厚な旨みを引き立てる、絶妙な組み合わせですよ！

材料（2人分）

• 鴨の胸肉　2枚（合鴨がオススメ）
• オレンジ　1個
• はちみつ　大さじ1
• バルサミコ酢　大さじ1
• 塩、こしょう　適量

手順

1. 鴨の胸肉の皮に格子状の切り込みを入れ、塩こしょうで下味をつける。
2. フライパンを中火で熱し、鴨肉を皮を下にして入れて、6分ほど焼く。
3. 裏返して、さらに3分ほど焼いて、一度取り出して肉を休ませる。この間も余熱でちょうど良い火の通りに仕上がる。
4. 同じフライパンで焼いて出た鴨脂と、はちみつ、バルサミコ酢、オレンジをしぼった果汁と皮をみじん切りにしたもの（ひとつまみくらい）を入れて1分ほど煮詰める。
5. 鴨肉を5ミリほどの厚さで切り分け、スプーンでソースを美しく描くようにかけて完成！

ポイントは、皮をパリッと焼くのが美味しさの秘訣です。

鴨肉を休ませて、余熱で火を通すことで焼きすぎて硬くなることを防ぎます。

ソースには塩分を加えないので、鴨肉に塩こしょうで下味をつけましょう。

鴨肉とクルミのサラダ

このサラダは、鴨肉の旨味とブルーベリーの甘酸っぱさ、クルミの食感が絶妙にマッチします。

タンパク質も補えてヘルシー、これ一品で大満足です！

材料（2人分）

• 鴨の胸肉　1枚
• ベビーリーフミックス　100g
• クルミ　30g
• ブルーベリー　50g
• バルサミコ酢　大さじ2
• オリーブオイル　大さじ2
• はちみつ　小さじ1
• 塩、こしょう　少々

手順

1. 鴨の胸肉の皮に格子状に切り込みを入れ、塩こしょうをして中火のフライパンで皮から焼いていく。皮面6分、裏返して3分焼いたら取り出して肉を休ませ、余熱で火を通す。

2. ボウルにバルサミコ酢、オリーブオイル、はちみつを入れて混ぜ、ドレッシングを作る。

3. 好きなお皿にベビーリーフミックスをふんわり盛り、休ませた鴨肉を3ミリほどの厚さでスライスして、クルミとブルーベリーと合わせて野菜にのせる。

4. 最後にドレッシングをかけて完成！　ボウルであえても味がなじみGOOD。

ポイントは、鴨肉の皮をパリッと焼いてなるべく薄くスライスするのがサラダに合いますね。

ドレッシングは泡立て器などでよーく混ぜるとなじみが良くなります。

鴨肉とフォアグラの照り焼き丼

フォアグラが手に入ったら、ぜひ試してほしいレシピです！

甘めのタレがフォアグラとご飯にめちゃくちゃ合うんです。

材料（2人分）

• 鴨の胸肉　1枚
• フォアグラ（スライスカット50g 2枚）100g
• 小麦粉　適量
• 醤油　大さじ3
• みりん　大さじ2
• 酒　大さじ2
• 砂糖　大さじ1
• ご飯　400g
• 小ネギ（刻み）適量

手順

1. 鴨の胸肉の皮に格子状に切り込みを入れ、塩こしょうをして中火のフライパンで皮から焼いていく。皮面6分、裏返して3分焼いたら取り出して肉を休ませ、余熱で火を通す。　　　　　　　　　　　　　
2. フォアグラに小麦粉をまぶし、鴨肉を焼いたフライパンで中火で焼く。表面がカリッとするくらいに焼き色がつけばOK。
3. フライパンの脂を軽く拭き取り、醤油、みりん、酒、砂糖を入れて中火で煮立たせる。
4. 鴨肉とフォアグラを戻し入れ、タレを絡めながら温める程度に焼く。
5. 鴨肉を一口大にカットし、ご飯の上に盛り付け、フォアグラをのせてタレをかける。
6. 最後に刻んだ小ネギを散らして完成！

ポイントは、フォアグラを焼く前に小麦粉を両面にしっかりまぶす事。焼いた時に脂が溶け出るのを防ぎ、焼き上がりもカリッとして中はトロトロに仕上がります。

まとめ：鴨肉の種類と選び方

鴨肉の主な種類は、「マガモ」「アイガモ」「アヒル」「チェリバレー種」「バルバリー種」になります。

厳密には、ミュラー種やシャラン鴨などといった種類もありますが、一般的に流通している種類は上記の5種類が多いでしょう。

濃厚な鴨肉のローストが食べたい時はマガモやバルバリー種。鴨南蛮や鴨鍋など和食にはアイガモなどのチェリバレー種を。という感じに料理で鴨肉の種類を選ぶとより鴨肉の魅力を楽しめるカモ（？）。

さて、この後のランチやディナーは鴨肉で決まり……？！